神戸センターの人形を直しました

このところ、渦が森は朝晩少しだけ涼しくなってきました。ほんの少しだけですが。
シュウメイギクが咲き始めて、異常な暑さも峠を越したか?
やっと夏の終わりの兆しが見えてきました。

今は特注の人形を集中して作っている毎日です。

先週お客様がおいでになられました。
お母様の形見の、神戸人形の修理のご依頼です。
大正うまれだったお母様、各地の民芸品をたくさんコレクションされていたそうです。
亡くなられたときコレクションの品を人に譲ったり処分されたそうですが、神戸人形は愛着があり手元においておかれたとおっしゃっていました。
その神戸人形、お客様のお孫さんが遊んでいるうちに動きが悪くなったということで、修理に持ってこられたのです。

持ってこられた人形は、神戸センター製の二人乗りの人形でした。

神戸センターは三宮センター街の入口近くにあった民芸ショップです。
世界各国の民芸品とともに、ショップオリジナルの神戸人形を作って販売されていました。
シンプルな形と合理的な作りに徹底し、1977年の神戸新聞に「月産100個を実現」と記事にされています。
逆の視点から見ると、月に100個も神戸人形が買われていた!
すごいことです。
底板には扇のマークが入っています。
元町のキヨシマ屋と、三宮の神戸センターの神戸人形、それぞれ少しずつカラーが違いそこもマニアに受けたのでしょう。

ウズモリ屋が神戸人形を作るようになってから、人形劇界の先輩より「これと同じのを作っていた人を知っている」と紹介されてお会いした人が、この神戸センターの人形を制作していた方だったのでした。
その方はなんと、われわれと同じ人形劇の美術家だった方なのです。
神戸センターの人形は誰が作っていたのか、という謎が解けたその時は、本当に大興奮しましたねえ!
その時に糸を引く仕掛けの話をお伺いしたのですが、偶然にもウズモリ屋の吉田のやっている機構と同じだったのが、劇人形作家ならではの共通した発想らしく、嬉しく感じたものでした。

二人乗りの片方の首が動きません。
糸切れはありませんでした。軸が折れているようです。
お客様と色々と雑談をしながら、吉田がちょいちょいと作業、すぐに直すことができました。

ちゃんと動くようになってよかったです。
お孫さんも、ひいおばあちゃんの人形でまた遊べるようになりましたね。
ガラスケースに入れて飾っておくよりも、そんな感じでいつも触ってもらうほうが、神戸人形もきっと喜んでいると思います。

(担当 守津)





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